メメント
2001年11月3日 劇場公開
あらすじ
主人公レナード(ガイ・ピアース)は、10分間しか記憶が維持できない。
原因は、自宅に押し入った何者かに妻を殺され、自身も頭部に重傷を負った事による。
レナードは「犯人を追う」という目的だけを支えに生きているが、記憶が続かないため、体中のタトゥー・ポラロイド・メモを手掛かりに独自に犯人を追い捜査を進めていく。
映画の事件は真相から入り遡ることになる・・・
「結末から」見せられる
普通の映画は「結末に向けて」進みますが・・・しかし『メメント』は逆です。
“この結末はどこから来ているのか?”“なぜそうなったのか?”
観客はその原因を探す立場になります。そしてそれを知ることになります。
この視点の転換は強烈で、普通に見ているのに脳に常に負荷がかかります。
主人公の「数分前の記憶を失う」という設定と、観客の“情報の欠如”の感覚がリンクしてきます。
断片化が「見易さ」と「中毒性」を生む
本作は細かく断片化されているので、実は長編映画より“区切りが理解しやすい”。
短いパート→次の短いパート
と積み重ねる構造は「原因を掘っていく作業」そのものに集中させてくれます。
だからテンポがとてもよく感じ難解だけど飽きさせない工夫が施されていると思いました。この映画は“テンポ感”が作品の最大の武器でもあり魅力だと思います。
そして—1回では絶対理解しきれない構築になっているので、「もう1回見たい」と思う気持ちが自然と湧き上がります。
2001年の作品とは思えない“先の時代感”
2001年の映画ですが、今見ても“新しさ”が勝っています。
この構造を当時のノーラン監督が作ったこと自体スゴイと思います。
そして今なお「唯一無二の映画」として語られる理由が分かります。こういう「映画の作り方そのものをいじる作品」ってそう多くないと感じています。
最初から“ネタバレを見せられる映画”という逆算なのに
その“いきさつ”を知るラストを見せられ驚かされる、仕掛けが本当に効いている作品なんだなと十分感じます。
『メメント』は“観客を映画の中に巻き込む”設計で作られた体験型映画。
ストーリーを追う、ではなく“原因を探す”映画。
だからこそ、1回の試聴では決して終わらないそんな新感覚な映画だったと思います。
私的関連作品
●「インセプション」(2010年)
ノーラン監督の作品でこちらも難解。
●「トランス」(2013年)
現実か夢の話か記憶が交差する作品。
●「ファイトクラブ」(1999年)
どこからどこまでが現実なのか?と終盤につながる爽快感。
ランキングに参加始めました。
よろしければこちらもポチッとお願いします。
↓↓↓↓