夏目アラタの結婚
2024年9月6日劇場公開
ふとHuluであらすじを眺めていた時、「死刑囚との獄中結婚」「死体を探すための駆け引き」という刺激的なワードが目に飛び込んできました。そしてよく見ると、原作は『医龍』の乃木坂太郎先生!この映画の監督はなんと『金田一少年の事件簿』の堤幸彦監督でした!これは見るっきゃない!と思い鑑賞しました。
檻の内側と外側の関係
この映画の見所の一つとしては、やはり「檻の内側と外側の関係」だと思います。 本来、死刑囚である品川真珠(黒島結菜)は、物理的には閉ざされた監獄の中にいますが、夏目アラタ(柳楽優弥)と対面室で向き合う二人の様子を観ていると、まるで檻の中にいるはずの真珠が、外側にいる夏目アラタを手のひらで転がしているかのような圧倒的な主導権を握っています。
『羊たちの沈黙』のレクター博士を思わせる様な塀の中の存在感で観ていてもどこか寒気が襲ってきました。
サイコパスというフィルターを纏いながら、アラタという男を狂気の世界へと引きずりこもうとするこの描写は観ていて恐怖を覚えました。そして狂気と同情という二つの対角線上の感情を使いこなし、時には見ている側にも真珠が可哀想と感じる部分もあり、どこからどこまでが噓かホントかわからなくなります。
前半後半はタッチが違う
前半は、まさにアラタと真珠の言葉と心理的な攻防戦、駆け引きの連続で瞬きをするのも惜しいほどの緊張感でした。裁判のシーンも一つ一つの真珠の言動に引き込まれてしまいます。
後半の展開については、様々な意見があるかもしれません・・・心理的攻防という緊張感は消え、アラタと真珠の恋模様?的な感じが描かれます。果たしてこの描き方はいいのかな?とも思いますが、緊張と緩和をしっかりと表現してくれているのだと思います。終わり方も後味悪い形で終わるのではなく、この映画の終わらせ方でしっくりくる部分もあります。
キャスト陣
黒島結菜
真珠というキャラクターが物語が進むにつれて少しずつ違った容姿(表情)に見えてくる。歯並びの汚さだけでも狂気が詰め込まれているのですが、彼女の人間としての実態が露わになっていき、言動一つで可愛らしさを感じてしまいます。そんな演出の妙にはゾッとさせられました。
物語の狂気的な部分を体現する真珠の役柄には、驚かされることばかりでした。今後注目していきたい女優の一人です。そんな事なら彼女の出演していた『未解決の女season3』見ておくべきだった・・・
柳楽優弥
彼は、実はそんなに出演しているドラマや映画はほとんど見た事無かったのですが、いい演技していました。彼の出演している作品を見たとしたら『クローズEXPLODE』ぐらいだったと思います。
Disney+で配信されている『ガンニバル』とかも主演をつとめているので、黒島結菜と共に注目していきたい一人に感じました。
丸山礼
ものまねタレントとしても有名な丸山礼。普通にタレントという枠に収まっていない女優としての演技をしてました。いい意味で若干ふくよかで愛嬌のあるキャラが出てくると妙に安心しますね。
野呂佳代なんかもそんな一人にあたりますよね!野呂佳代の『銀河の一票』見ておくべきだったかな。と思いつつ、丸山礼は、2026年夏ドラマ『大追跡season2』にも出演するみたいなのでチェックしておきます。
他にも平岡祐太が出演していて、最初どこかで見た事あるな、と思って検索したら彼でした。佐藤二朗も出演していたりとキャスト的にはとても演技派を揃えたという印象でした。
総括
決して明るい物語ではありませんが、観終えた後の独特の余韻は、まさに「沼」そのものでした。何となくとはいえこの作品を偶然観た事は非常に大きな収穫でした!皆さんも、もし「檻の向こう側の支配者」を目撃したければ、ぜひこの狂気に触れてみてください。
堤監督の『金田一少年の事件簿』『トリック』『SPEC』の演出とはまた違うタッチな気もしますが、全然良かったです!
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