ミスター・ガラス
2019年1月18日 日本公開
あらすじ
“不死身の男”デヴィッド(ブルース・ウィリス)は、街で犯罪者を追う日々を送っていた。
一方、多重人格者ケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)は、新たな犠牲者を拉致しようとしていた。やがて二人は対峙し、激しい戦いを繰り広げるが、その最中に警察と精神科医ステイプル博士(サラ・ポールソン)に拘束され、精神病院へと収監されてしまう。
そこにはミスター・ガラスことイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)がすでに収容されており、三人は同じ施設に閉じ込められる。
「自分たちの能力は妄想だ」と説得される中で、それぞれが抱える信念と正義がぶつかり合い、物語は予想外の結末へと進んでいく――。
ジェームズ・マカヴォイの怪演再び
前作「スプリット」で圧倒的存在感を放ったジェームズ・マカヴォイ。
今作ではさらに演技が進化し、瞬時に人格が切り替わる姿はまさに圧巻。
子供のような無邪気さのある少年から残虐性あふれる「ビースト」まで、一瞬で別人になる演技力は、この映画最大の見どころといえます。
20年越しの再会 ― ブルース・ウィリスと息子ジョセフ
「アンブレイカブル」から約20年。デヴィッドを再び演じたブルース・ウィリスの姿は、このシリーズのファンにとって胸熱な瞬間。
さらに驚きなのは、当時子役だったスペンサー・トリート・クラークがそのまま息子ジョセフ役で続投していること。
キャストを変えることなく年月を積み重ねた“本物の続編”であると感じさせ、作品世界の厚みを強く支えていました。
静かな序盤と怒涛の展開
正直に言えば、序盤はやや淡々としており退屈さを覚えるかもしれません。
しかし、中盤から後半にかけて一気に物語が加速し、バトルシーンや心理戦が緊張感を高めていきます。ラストに向かっていくテンポは見事で、気づけばスクリーンに引き込まれている自分がいました。
本作は一見するとヒーロー映画ですが、派手なアクションや「正義が勝つ」といった勧善懲悪の展開はありません。
むしろヒーロー映画らしからぬ、苦味を残すような結末に向かいます。
このラストは賛否が分かれるでしょうが、だからこそ余韻が深く残り、考えさせられる作品になっていました。
しっくりくるシャマランのどんでん返し
シャマラン監督といえば“衝撃のどんでん返し”が代名詞ですが、本作では大きな驚きというより納得に近い印象。
「シックス・センス」ほどの衝撃はないものの、三部作の結末にふさわしい静かな驚きを与えてくれます。
この作品は「アンブレイカブル」「スプリット」を観ていなければ、物語の背景やキャラクターの意味が理解しと思います。単独では消化不良になりますが、三部作を通して観ることで初めて真価を発揮します。
総括 ― シャマランファン必見の異色ヒーロー映画
「ミスター・ガラス」は、シャマラン監督だからこそ生み出せたヒーロー映画の新しい形でした。
キャストの熱演、シリーズを丁寧に繋げる構成、独自のテーマ性。派手さはないけれど、確実に余韻を残す結末。シャマランファンはもちろん、三部作を通して観た人にとっては感慨深い完結編となるでしょう。
私的関連作品
●『ドクター・スリープ』(2019年)
40年後にシャイニングの世界が蘇る。シャイニングの続編。
●『オールド』(2021年)
シャマラン監督作品。ミスターガラスの次に公開された作品。
●『シャッター・アイランド』(2010年)
レオナルド・ディカプリオ主演。精神疾患の犯罪者の収容している島で起こる謎。
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