スプリット
2017年5月12日 日本公開
あらすじ
女子高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)と同級生2人が突然拉致され、薄暗い部屋に監禁される。
犯人の男(ジェームズ・マカヴォイ)は、時に穏やかで礼儀正しく、時に残忍、そして時に子どものような人格を見せる「多重人格者」だった。
23もの人格を宿す彼の中には、まだ姿を現していない「24番目の人格」が存在するとされ、その到来によって恐ろしい事態が引き起こされる。
少女たちは必死に脱出を試みるが、人格が目まぐるしく変化する彼に翻弄されていく…。
多重人格を体現するジェームズ・マカヴォイの怪演
この映画最大の見どころは、ジェームズ・マカヴォイの圧倒的な演技力です。
人格が切り替わるたびに声色、表情、仕草、立ち居振る舞いまですべてが変わり、同じ人物とは思えないほどの説得力を持っています。
特に、カメラが彼の顔を捉えたまま一瞬で人格が変わる場面は鳥肌もの。ホラー的な恐怖というより「人間の内面がこんなにも劇的に変わるのか」と驚かされました。
マカヴォイの怪演は、この作品をただのスリラーに留めず「心理ドラマ」としての重厚さを加えています。
監禁劇の緊張感と心理戦
少女たちが監禁されている部屋は閉ざされた空間でありながら、人格ごとに異なる対応をされることで常に先が読めない展開になります。
また、犯人と精神科医フレッチャー博士(ベティ・バックリー)とのやり取りも重要な要素です。博士は彼の多重人格を治療しながらも、同時にその奥に潜む「進化した存在」への可能性を信じてしまっている。
監禁劇と心理戦が交互に進むことで、観客は息つく間もなく緊張感を味わわされます。
シャマランらしい「仕掛け」
シャマラン監督といえば、観客の予想を裏切る“どんでん返し”。
『スプリット』では、衝撃のラストで本作が『アンブレイカブル』の続編であることが明かされます。
現在では、三部作の一作目・二作目・三作目、と整理されていますが、当時の観客にとっては”まさかの繋がり”に驚かされたはずです。
「どんでん返し」自体はシンプルですが、世界観を繋げていくことで後の『ミスター・ガラス』へと自然に流れる布石になっており、シリーズ全体で見たときに納得感が生まれる仕掛けになっています。
まとめ ― 演技と緊張感で引き込まれる一作
『スプリット』は、どんでん返しよりも俳優の演技力と緊張感あるシナリオが魅力の作品です。
・多重人格を圧倒的に演じ分けたマカヴォイの怪演
・監禁劇と心理戦の息苦しいまでの展開
・シャマラン監督の仕掛けによるシリーズの繋がり
これらが融合し、ただのサイコスリラーを超えて記憶に残る一作となっています。
どんでん返し系の映画を探している人はもちろん、心理的にゾクゾクする作品を求めている人におすすめです。
私的関連作品
●「ミスター・ガラス」(2019年)
シャマラン監督作品。
『アンブレイカブル』と『スプリット』をクロスオーバーさせた完結編。
●「トランス」(2013年)
ジェームズ・マカヴォイ主演作品。美術品窃盗をめぐる催眠術×サスペンス。
●「シャッターアイランド」(2010年)
レオナルド・ディカプリオ主演作品。精神病棟を舞台にした心理サスペンス。
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