サイン
2002年9月21日 劇場公開
あらすじ
ペンシルベニア州の片田舎。牧師の元牧師院に住むグラハム・ヘス(メル・ギブソン)は、妻を事故で失い、二人の子どもとともに孤島のような暮らしをしている。
ある日、農地に不自然な円形が出現。さらに世界各地で同様の“サークル”が報じられ、異変の気配が広がる。
やがて、彼らの家にも“侵入者と思われる物音”が響き、不安が増していく。家族は恐怖と疑心暗鬼の中で、見えない何かと対峙していくことになる。
見えない恐怖の演出とリアリズム
本作の肝は、「何がそこにいるのかを見せないこと」
宇宙人の描写を極力抑え、音響・影・揺れ・間接的な気配で恐怖を生み出す演出が随所に効いています。もしあからさまにエイリアンを見せていたら、確実に作り物感やCG感に引き戻されていたでしょう。
シャマラン監督は、この“見えない恐怖”の見せ方で、観る者に想像の余地を残すスタイルを徹底していると思います。
例えば、物音、影の使い方など、日常の中に異物を忍ばせる演出。
これが「SFホラー」ではなく「静かな恐怖映画」としての魅力を高めています。
伏線と物語の収束
『サイン』には、最初「意味?」と感じる描写やセリフが散見されます。しかし後半にかけて徐々に収束し、一本道の解釈に繋がる伏線回収が巧みでした。
例えば子どもの嗜癖だった“水”や“病気”と宇宙人の関係など、最後にリンクして意味を持たされる要素が複数。
「ご都合主義」と感じる展開もありますが、物語世界の前提として受け入れられる範囲内に収めているので違和感は少なかったです。
シャマラン作品の中では比較的穏やかな衝撃ですが、その静かなラストにこそ深い余韻があります。
総評:ありきたりにならないSFホラーとして
『サイン』は、「宇宙人」と「恐怖」というジャンル的な素材を使いながら、シャマランらしい静謐さと演出をもって昇華した作品です。
大がかりなヴィジュアルや派手な演出に頼らず、観る者の想像力を刺激するやり方で魅せる。ラストのどんでん返しではなく“しっくりくる結末”という曖昧さを残すスタイルも、この作品の強みです。
SF/ホラー好きにはもちろん、普段ホラーが苦手な人にも勧められる“怖すぎない恐怖映画”。
シャマラン監督の作品群を追っている人にとっては、見逃せない一作でしょう。
私的関連作品
●「ヴィレッジ」(2004年)
シャマラン監督作品。閉鎖的な村を舞台にしたミステリー映画。
●「インデペンデンス・デイ」(1996年)
派手に異星人との攻防を見せてくれるSF映画。
●「リーサル・ウェポン」(1987年)
メル・ギブソン主演のアクション映画。サインとは真逆のメル・ギブソンが見えるかも。
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